NISAはよく聞くものの、「結局どんな制度なのか」がわかりにくいと感じる人は少なくありません。まずは仕組みの全体像をつかむと、自分に関係のある制度かどうかが見えやすくなります。

NISAで非課税になるのは何か

通常、株式や投資信託を購入し、値上がりしたタイミングで売却して利益が出た場合、その利益には税金がかかります。配当金や分配金を受け取る場合も同様です。ところが、NISA口座を通じて購入した商品については、一定の条件のもとでこうした利益が非課税になります。同じだけ利益が出ても、課税口座より手元に残りやすいという点が大きな特徴です。投資で必ず利益が出るわけではありませんが、「増えたときに税金で差し引かれにくい」という仕組みは、長期で資産を育てるうえで効きやすいポイントになります。

新NISAの基本構造

つみたて投資枠

つみたて投資枠は、長期の積立と分散投資に向いた一定の投資信託などが対象です。対象商品は金融庁の基準を満たしたものに絞られているため、初心者でも比較的選びやすくなっています。毎月少額を自動で積み立て、時間をかけて資産形成をしていく人に向いた枠だと考えるとわかりやすいでしょう。値動きを細かく追いかけるより、淡々と続けることを前提にした仕組みです。

成長投資枠

成長投資枠は、上場株式や投資信託など、つみたて投資枠より幅広い商品に投資できる枠です。個別株に関心がある人や、積立とは別に余裕資金で投資したい人には使いやすい反面、商品選びの自由度が高いぶん判断の難しさも増します。制度上使えることと、自分に合っていることは別なので、初心者ほど「選択肢が多いほうが有利」とは限らない点を押さえておきたいところです。

NISAが注目される背景

物価上昇が続くなかで、預金だけではお金の価値を守りにくいと感じる人が増えています。その一方で、投資には損をするイメージもあり、何から始めればいいかわからないという声も少なくありません。NISAは、そうした人が税制面の後押しを受けながら資産形成を始めやすくするための制度です。制度を知ることは、投資を無理に勧められることではなく、将来のお金の置き方の選択肢を増やすことにつながります。

旧制度との違い

2024年から始まった新NISAでは、旧制度と比べて使いやすさが大きく改善されました。特に大きいのは、非課税で保有できる期間が無期限になったことと、制度自体が恒久化されたことです。以前のように「期限が来る前にどうするか」を強く意識しすぎる必要が薄れ、長く持ち続ける前提で考えやすくなりました。さらに、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、毎月の積立を土台にしながら、必要に応じて別の投資も加えるといった使い方もしやすくなっています。

上限があることも理解しておきたい

NISAは便利な制度ですが、無制限に非課税になるわけではありません。年間の投資枠や、生涯で保有できる非課税枠には上限があります。ここで大切なのは、上限まで使うことが正解ではないという点です。制度の枠が大きく見えると、できるだけ埋めたほうが得に思えるかもしれませんが、家計に無理がある状態で投資額を増やすと、相場が下がったときに不安が強くなりやすくなります。制度のメリットを受けるには、まず続けられる形で使うことが前提です。

NISAが向いている人

NISAは、短期間で大きな利益を狙いたい人より、将来に向けて少しずつ資産形成をしたい人に向いています。老後資金、教育費、数年後の住み替え資金など、使うまでにある程度時間のあるお金を育てたい人には相性がよい制度です。毎月一定額を積み立てることに抵抗がなく、値動きがあっても慌てず続ける意識を持てる人ほど、制度のよさを感じやすいでしょう。

NISAは預金の代わりではない

一方で、NISAは生活費を置いておく場所ではありません。預金には、値動きがなく、すぐ引き出しやすいという役割があります。NISAで買う商品は価格が変動するため、急な出費に備えるお金まで回してしまうと、必要な時に値下がりしている可能性があります。生活防衛資金と、時間をかけて育てるお金を分けて考えることが、制度を無理なく使ううえで欠かせません。

最初にやるべきこと

NISAを始める前は、商品選びより先に「何のためのお金か」を決めておくと迷いにくくなります。老後のためなのか、10年後の大きな支出に備えるのかで、積立額も商品選びも変わるからです。制度を知るだけでは運用は続きません。自分の家計と目的に照らして、どのように使うかを言葉にできてはじめて、NISAは実際の生活の中で意味を持つ制度になります。

出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

出典:金融庁「NISA早わかりガイドブック」